日本プロ野球

プロ野球のスカウト不要論について

 2022年現在、ネットで容易に試合結果を確認することが可能となっており、また、セイバーメトリクスが普及したことにより、選手の能力を把握することが容易になっています。そのため、MLBの各球団はスカウトの評価を重視することなく選手の評価が可能な仕組みができています。では、本当にスカウトは不要なのでしょうか考察していきたいと思います。なお、本記事はスカウトを失職させる目的で書いているのではなく、自分なりに考察した結果を伝えるという目的で書いています。

1.スカウトが不要であると考えた理由について

マチュアスカウトが不要であると考えた理由は、指標を見ればどの選手が活躍する可能性が高いのか簡単に予想することが可能であるからです。大卒投手について見てみることにします。2007年から2018年までにドラフト上位で指名された投手(名前は伏せる)を無造作に30人選んで(全投手のデータを集めようとしたが、無理だと感じたのでしないことにした)、図1に大学通算与四死球率(大学のリーグレベルの差は考慮しない)を横軸に、WAR(Wins Above Replacement=そのポジションの代替可能選手と比べたときに増やした勝利数を表す指標)の平均値(通算WARを在籍年数で割ったもの。但し、ケガなどでの長期離脱は考慮しない)を縦軸に取りました。

図1
http://npbstats.comより引用

大学通算与四死球率とWARの平均値との相関係数は-0.457であったため、負の相関がある(与四死球率が高くなるとWARは低下する)と言えるため、大学通算与四死球率とWARの平均値にはある程度の相関があると考えられます。また、四死球率が3を超えた選手はWARの平均値が1を下回るというケースが増えています。先発投手のWARの平均値は2.0であるため、与四死球率が3を超えた場合、先発での活躍が難しくなると考えられます。ここでは与四死球率を例に挙げましたが、指標を見ることによりどのような選手が活躍するかといった予想は簡単にできます。また、大卒野手も三振率と四球率を見ればどれくらい打てるのかある程度予想することも可能(長くなるので省く)です。

2.スカウトは本当に不要であるのか

先ほど、指標を見れば選手がどの程度活躍するか予想することは容易であると書きましたが、本当にスカウトは不要なのでしょうか。先ほどの相関係数より、与四死球率とWARの平均値との相関はさほど強くないと考えることが可能です。また、といった与四球率の高い選手が活躍するということもあるため、指標を見ることが100%正しいというわけではありません。大卒野手も三振率と四球率を見ればどれくらい活躍するか予想することは可能であると書きましたが、あくまでも打撃に限定したもので、守備や走塁は実際に目で見て確かめなければなりません(一塁専、レフト専、DH専の選手の守備力についてはお察しだが)。先ほど書いたのは即戦力として期待される大卒プロを対象としたものであり、高卒プロは実際の能力と伸びしろを考慮しなければならないため(高校レベルで三振や与四球が多い選手が大成するとは思えないが)、指標(そもそもレベル差が大きいため参考になりにくいが)を見て選手の活躍を予想することは不可能に近いです。また、選手が活躍するかどうかで重要な項目があります。それは、選手の素行などの野球の能力以外の部分であると思います。

3.まとめ

指標を見ることによって選手の能力をある程度把握することは可能であります。しかし、指標だけで判断することが不可能な部分や、野球の能力以外の部分の調査は必要なため、スカウトが不要であるとは言えないでしょう。しかし、MLBではスカウトの影響力が小さくなっているため、日本のプロ野球でもデータ分析といった分野が進歩した場合、スカウトがゼロになるわけではありませんが、人数が減る可能性は高いです。

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